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はじめに|家の中でWi-Fiが遅くなる原因は「範囲」と「構造」にある

「リビングでは快適なのに、寝室だとWi-Fiが遅い」「部屋によって動画が止まる」
このようなWi-Fiの悩みは、回線そのものが悪いのではなく、家の中で電波がうまく届いていないことが原因であるケースがほとんどです。
Wi-Fiは、スマートフォンやパソコンに直接つながっているように見えますが、実際にはルーターから飛んでくる電波を受け取って通信しています。
そのため、家の広さや間取り、壁や床の構造によって、電波の届き方には大きな差が出ます。
特に多いのが、次の2つの問題です。
- 範囲の問題:1台のルーターでは家全体をカバーしきれていない
- 構造の問題:壁・床・鉄骨・家具などが電波を弱めている
たとえば、戸建ての2階や3階、マンションの奥の部屋では、ルーターからの距離が遠くなるうえ、壁や床を何枚も挟むことになります。その結果、通信速度が落ちたり、接続が不安定になったりします。
このような環境では、ルーターを高性能なものに替えるだけでは根本的な解決にならないことも多く、電波を家全体にどう行き渡らせるかという視点が重要になります。
そこで注目されているのが、
メッシュWi-Fi や 中継器 といった「電波を広げるための仕組み」です。
この記事では、それぞれの特徴や違い、どんな家庭に向いているのかを、専門用語をできるだけ使わずにわかりやすく解説していきます。
家中でWi-Fiが遅くなる主な原因
自宅のWi-Fiが遅い原因は、設置場所や機器の問題だけとは限りません。まずは、どの要因が自分の環境に当てはまるのかを整理しておくことが大切です。
▶ Wi-Fiが遅い原因はこれ!自宅でよくあるチェックポイントをわかりやすく解説
Wi-Fiが遅くなる代表的な原因を、「距離・障害物・時間帯・回線混雑」などの視点から整理し、自宅で簡単に確認できるチェックポイントとして解説した記事。原因切り分け用の基礎記事として機能する。
家の中でWi-Fiが遅くなる理由は、ひとつだけではありません。多くの場合、複数の原因が重なって起きています。
ここでは、特に多い4つの原因を順に見ていきます。
ルーターからの距離が遠い
Wi-Fiの電波は、ルーターを中心に放射状に広がります。そのため、ルーターから離れるほど電波は弱くなり、通信速度も落ちやすくなります。
たとえば、リビングにルーターがあり、寝室や書斎が廊下の奥や2階にある場合、距離だけでなく壁や床も挟むことになります。その結果、
「アンテナは立っているのに遅い」
「ページの読み込みに時間がかかる」
といった状態になりやすくなります。
壁・床・鉄骨などの遮蔽物が多い
Wi-Fiの電波は、空気中ではよく届きますが、障害物に弱いという特徴があります。
特に影響が大きいのは、
- コンクリートの壁や床
- 鉄骨入りの壁
- 大型家具や金属製の棚
といったものです。
マンションや戸建てでも、構造によっては電波が大きく減衰し、ルーターからそれほど離れていなくても速度が落ちることがあります。
1台のルーターで家全体をカバーしようとしている
市販のWi-Fiルーターは、「家全体をカバーできる」と書かれていることが多いですが、これは理想的な環境での目安です。
実際の家庭では、
- 間取りが複雑
- 階数が多い
- 部屋数が多い
といった条件が重なるため、1台のルーターだけで安定した通信を維持するのは難しいケースが少なくありません。
この状態で無理に使い続けると、部屋ごとの通信品質に大きな差が出てしまいます。
同時接続台数が多く帯域が不足している
最近の家庭では、
- スマートフォン
- パソコン
- テレビ
- ゲーム機
- スマート家電
など、複数の機器が常にWi-Fiに接続されています。
設置や機器に問題がないのに遅く感じる場合、時間帯や回線の混雑が影響していることもあります。
▶ 夜だけWi-Fiが遅い原因とは?時間帯で速度が落ちる理由と対策
夜間や特定の時間帯にWi-Fiが遅くなる原因を、回線混雑や利用状況の観点から解説し、機器以外で見直せるポイントを整理した記事。
接続台数が増えると、通信の通り道(帯域)を取り合う状態になり、1台あたりの速度が低下します。特に、動画視聴やオンライン会議、ゲームなどが重なると、遅さを強く感じやすくなります。
メッシュWi-Fiと中継器の違いを正しく理解する
家中のWi-Fi環境を改善しようとすると、「メッシュWi-Fi」と「中継器」という2つの選択肢がよく出てきます。どちらも電波を広げる仕組みですが、考え方と使い勝手は大きく異なります。ここでは、それぞれの特徴と違いを整理します。
メッシュWi-Fiとは何か
メッシュWi-Fiは、複数の機器を使って家全体をひとつのWi-Fi環境として構築する仕組みです。
複数の機器で1つのWi-Fi網を作る仕組み
メインとなる親機と、サテライトと呼ばれる子機を複数設置し、それぞれが連携して通信します。
利用者側から見ると、SSID(Wi-Fi名)は1つだけで、家のどこにいても同じWi-Fiにつながります。
たとえば、リビングから寝室、2階へ移動しても、接続先が自動で切り替わるため、通信が途切れにくいのが特徴です。
中継器とは何か
中継器は、すでにあるWi-Fiの電波を受け取り、その電波をさらに先へ飛ばす機器です。
既存Wi-Fiを「延長」する仕組み
ルーターと電波が弱い場所の中間あたりに設置することで、届きにくかった部屋でもWi-Fiが使えるようになります。
手軽に導入でき、価格も比較的安い点がメリットです。
ただし、ルーターとは別のSSIDになることが多く、場所によって接続先が切り替わる場合があります。
メッシュWi-Fiと中継器の決定的な違い
両者の違いは、「ただ広げる」か「一体として管理する」かにあります。
接続の安定性
メッシュWi-Fiは、複数の機器が常に連携して最適な通信経路を選ぶため、安定性が高い傾向があります。
一方、中継器は電波状況に左右されやすく、設置場所が適切でないと不安定になることがあります。
通信速度の低下有無
中継器は、電波を受け取って再送信する仕組み上、速度が落ちやすい場合があります。
メッシュWi-Fiは、最初から複数台で設計されているため、速度低下を感じにくい構成になっています。
移動時の自動切り替え(ローミング)
メッシュWi-Fiは、部屋を移動しても自動で最適な機器につながります。
中継器の場合、端末が古い接続先に居続けることがあり、手動で切り替えが必要になることもあります。
どちらを選ぶべき?住環境別おすすめパターン
メッシュWi-Fiと中継器は、どちらが「優れている」というよりも、住環境や使い方に合っているかどうかが重要です。ここでは、よくある利用シーン別に、どちらが向いているかを整理します。
戸建て住宅に向いているのはどっち?
戸建て住宅では、メッシュWi-Fiが向いているケースが多いです。
理由は、
- 階数が複数ある
- 部屋数が多い
- 壁や床を挟む場面が多い
といった条件が重なりやすいためです。
1台のルーターや中継器だけでは、どうしても電波が弱くなる場所が出てきます。メッシュWi-Fiであれば、各階や部屋ごとにサテライトを配置でき、家全体を安定してカバーしやすくなります。
マンション・アパートに向いているのはどっち?
マンションやアパートの場合は、中継器でも十分なことが多いです。
間取りが比較的コンパクトで、階段や厚い床がない場合、電波の届きにくい部屋が1〜2か所に限られるケースが多くなります。このような環境では、中継器を適切な位置に設置するだけで、体感速度が改善することがあります。
ただし、コンクリート造で壁が厚い場合や、部屋数が多い場合は、メッシュWi-Fiを検討する価値があります。
在宅ワーク・オンライン会議が多い家庭の場合
在宅ワークやオンライン会議が多い家庭では、安定性を重視してメッシュWi-Fiがおすすめです。
会議中に音声が途切れたり、画面が止まったりすると、仕事に大きな支障が出ます。メッシュWi-Fiは、通信が不安定になりにくく、部屋を移動しても接続が切れにくいため、安心して使えます。
特に、書斎や仕事部屋がルーターから離れている場合は、効果を実感しやすいです。
ゲーム・動画視聴が多い家庭の場合
オンラインゲームや高画質の動画視聴が多い場合も、メッシュWi-Fiのほうが有利です。
これらの用途は、通信速度だけでなく、遅延や途切れの少なさが重要になります。複数の端末が同時に使われる家庭では、メッシュWi-Fiのほうが全体のバランスを保ちやすくなります。
一方で、ゲーム機やテレビの設置場所が限られており、そこだけ電波が弱い場合は、中継器で対応できることもあります。
メッシュWi-Fiを効果的に使う設置ポイント
メッシュWi-Fiは、ただ設置するだけでも効果はありますが、置き方次第で通信の安定性と速度に大きな差が出ます。ここでは、失敗しやすいポイントを避けるための設置の考え方を解説します。
親機(メインルーター)の最適な設置場所
親機は、メッシュWi-Fi全体の通信の起点になります。そのため、設置場所はとても重要です。
基本的には、
- 家の中心に近い場所
- 床に直置きせず、棚や机の上
- 周囲に大きな障害物が少ない場所
が理想です。
玄関の隅やテレビの裏などに置いてしまうと、電波が偏ってしまい、メッシュの効果を十分に発揮できません。
サテライト(子機)の配置間隔と注意点
サテライトは、親機と完全に離しすぎないことがポイントです。
目安としては、
- 親機の電波がまだ安定して届く位置
- 通信が弱くなり始める少し手前
に設置します。
「電波が弱い部屋に直接置く」のではなく、電波が届いている範囲の延長線上に置くことで、全体の安定性が高まります。
置いてはいけない場所の例
メッシュWi-Fiは電波を使うため、設置場所によっては性能が大きく落ちることがあります。
電子レンジ・金属棚・水回り付近
電子レンジはWi-Fiと近い周波数帯を使うため、通信の妨げになることがあります。また、金属棚や水回りは電波を反射・吸収しやすく、通信が不安定になります。
具体的には、
- 電子レンジのすぐ横
- 金属製のラックの中
- キッチンや洗面所の近く
といった場所は避けたほうが安心です。
中継器を使う場合に失敗しやすいポイント
中継器は手軽にWi-Fiを広げられる反面、設置や設定を間違えると「思ったより速くならない」という結果になりやすい機器です。ここでは、特に多い失敗例を整理します。
ルーターから遠すぎる位置に設置している
最も多い失敗が、電波が弱い部屋に中継器を直接置いてしまうケースです。
中継器は、
「弱い電波を強くする機器」ではなく、
「受け取った電波をそのまま延長する機器」です。
そのため、元の電波が弱い場所に設置すると、
- 速度がほとんど改善しない
- 接続が不安定になる
といった状態になりやすくなります。
正しくは、ルーターと電波が弱い部屋の中間地点に設置するのが基本です。
中継器が古く規格が合っていない
中継器とルーターのWi-Fi規格が合っていない場合も、速度低下の原因になります。
たとえば、
- ルーターがWi-Fi6対応
- 中継器が古いWi-Fi4やWi-Fi5
といった組み合わせでは、中継器側に引きずられて通信性能が落ちることがあります。
見た目はつながっていても、本来の回線速度を活かせていないケースは少なくありません。
SSID設定が複雑になっている
中継器を使うと、
- ルーター用のWi-Fi
- 中継器用のWi-Fi
と、複数のSSIDが表示されることがあります。
この状態だと、端末が自動で切り替わらず、
「近くにいるのに遠いWi-Fiにつながり続ける」
といったことが起こります。
結果として、場所によって通信が不安定になり、使いにくさを感じやすくなります。SSID設定はできるだけシンプルにし、必要であれば同一名にするなどの工夫が重要です。
Wi-Fiが速くならないときに見直すべき設定
メッシュWi-Fiや中継器を導入しても、「思ったほど速くならない」と感じることがあります。その場合、機器の設置だけでなく、基本的な設定が適切かどうかを確認することが大切です。
設定や配置を見直しても改善しない場合は、Wi-Fi機器ではなく、回線やルーターそのものを見直す段階かもしれません。
▶ Wi-Fiルーターを見直すべきタイミングとは?買い替え判断のポイントを解説
Wi-Fiが改善しない場合に、ルーターの性能不足や経年劣化を疑うべきタイミングと、買い替え判断の基準をわかりやすく解説した記事。次の行動につなげる出口用リンク。
Wi-Fi規格(Wi-Fi5/6/6E)を確認する
まず確認したいのが、ルーターや中継器が対応しているWi-Fi規格です。
- Wi-Fi5:一般的な利用には十分だが、同時接続が多いと不安定になりやすい
- Wi-Fi6:複数台同時接続に強く、家庭利用で主流
- Wi-Fi6E:新しい周波数帯を使い、混雑しにくい
端末側が古い規格のままだと、高性能なWi-Fi環境でも速度が出ないことがあります。スマートフォンやパソコンの対応状況もあわせて確認すると安心です。
周波数帯(2.4GHz/5GHz)の使い分け
Wi-Fiには、主に2.4GHzと5GHzの2つの周波数帯があります。
- 2.4GHz:壁に強く遠くまで届きやすいが、速度は控えめ
- 5GHz:速度が速く安定しやすいが、壁に弱い
ルーターの近くでは5GHz、離れた部屋では2.4GHzを使うなど、環境に応じて使い分けることで、体感速度が改善することがあります。
ファームウェア更新の重要性
意外と見落とされがちなのが、ルーターや中継器のファームウェア更新です。
ファームウェアは、機器を動かすための内部ソフトのようなもので、
- 通信の安定性向上
- 不具合の修正
- セキュリティ対策
などが含まれています。
長期間更新していない場合、性能を十分に発揮できていないこともあります。定期的に管理画面を確認し、最新版に保つことが大切です。
メッシュWi-Fi・中継器導入時のよくある質問
メッシュWi-Fiや中継器を検討する際、「本当に速くなるのか」「手続きは面倒なのか」といった疑問を持つ方は多いです。ここでは、特によくある質問に絞って解説します。
回線速度そのものは速くなる?
メッシュWi-Fiや中継器を導入しても、契約しているインターネット回線自体の最大速度が上がるわけではありません。
ただし、
- 電波が弱くて本来の速度が出ていなかった
- 部屋によって速度差が大きかった
といった環境では、体感速度が大きく改善することがあります。
つまり、「速くする」というより、回線の性能を無駄なく使えるようにするというイメージが近いです。
プロバイダや回線契約は変える必要がある?
基本的に、プロバイダや回線契約を変更する必要はありません。
メッシュWi-Fiや中継器は、現在使っている回線の上に追加する機器なので、
- 光回線
- ケーブル回線
- ホームルーター
など、ほとんどの環境でそのまま利用できます。
「家の中だけ遅い」という場合は、まずWi-Fi環境の改善を優先するのが一般的です。
工事や専門知識は必要?
多くのメッシュWi-Fiや中継器は、工事不要で導入できます。
最近の製品は、
- アプリの案内に従って設定する
- コンセントに挿すだけで使える
といったものが多く、専門的な知識がなくても問題ありません。
ただし、設置場所や初期設定を誤ると効果が出にくいため、説明書やアプリの指示を丁寧に確認することが大切です。
まとめ|家の広さと使い方に合わせて最適なWi-Fi環境を作ろう
家中でWi-Fiが遅くなる原因は、回線そのものではなく、電波の届き方や使い方に問題があるケースがほとんどです。
この記事で解説してきたように、
- 家が広い・階数が多い場合はメッシュWi-Fi
- 一部の部屋だけ弱い場合は中継器
といったように、住環境に合った選択が重要になります。
また、設置場所や設定を見直すだけでも、体感速度が改善することは少なくありません。高価な機器を追加する前に、基本的なポイントを押さえることが大切です。
「家のどこでも安定して使えるWi-Fi環境」を作るために、
- 自宅の間取り
- 使っている端末の数
- インターネットの使い方
を一度整理し、最適な方法を選んでみてください。
この記事が、Wi-Fi環境を見直すきっかけになれば幸いです。