目次
はじめに|LAN配線方式のマンションは本当に遅いのか?

マンションのインターネットについて調べていると、
「LAN配線方式は遅い」
「当たり外れが大きい」
といった言葉を目にすることがあります。
実際に、
・動画が止まりやすい
・夜になると急に遅くなる
・オンライン会議で音声が途切れる
といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
ただし、LAN配線方式=必ず遅い、というわけではありません。
速度が出にくい理由には仕組み上の特徴があり、それを正しく理解することで、
「改善できるケース」と「改善が難しいケース」
を見分けることができます。
この記事では、
・LAN配線方式とは何か
・なぜ遅いと言われるのか
・実際の速度の目安
・注意すべきポイント
を初心者の方にも分かりやすく整理して解説します。
「今のネット環境に不満はあるけど、何から確認すればいいか分からない」
という方は、まずこの先を読み進めてみてください。
LAN配線方式とは?マンションで使われる回線の仕組み
LAN配線方式の基本構造
LAN配線方式とは、マンションの共用部までは光回線が引き込まれており、
そこから各部屋へは LANケーブルでインターネットを配線している方式 です。
各住戸の壁にある「LAN差し込み口」に、
パソコンやルーターを直接つなぐことで通信できるのが特徴です。
見た目はシンプルで、
「工事不要ですぐ使える」
「配線が分かりやすい」
といったメリットがあります。
ただし、部屋まで光ファイバーが来ているわけではないため、
共用設備やLANケーブルの性能が通信速度に大きく影響します。
光配線方式・VDSL方式との違い(全体像だけ押さえる)
マンションのネット速度を正しく判断するには、まず「どの回線方式なのか」を整理して理解しておくことが大切です。
▶マンション回線の種類を見分ける方法|VDSL方式・光配線方式・LAN配線方式をやさしく解説
マンションで使われる代表的な3つの回線方式についてそれぞれの仕組みや特徴、見分け方をやさしく解説しています。
「自分の家がどの方式なのか分からない」という方でも設備表示や確認方法から判断できる内容です。
マンションで使われる回線方式は、主に次の3つです。
- 光配線方式
共用部から各部屋まで光ファイバーが通っている方式。
速度・安定性ともに最も優れています。 - LAN配線方式
共用部までは光回線、各部屋まではLANケーブル。
建物の設備次第で速度差が出やすいのが特徴です。 - VDSL方式
電話回線(メタル線)を使う方式。
距離やノイズの影響を受けやすく、速度が出にくい傾向があります。
この中でLAN配線方式は、
「光ほど速くはないが、VDSLよりは安定しやすい」
という位置づけになることが多いです。
ただし、次のセクションで解説するように、
設備の条件次第で“遅い”と感じやすくなる要因もあります。
LAN配線方式のマンションが「遅い」と言われる理由
最大通信速度に上限がある
LAN配線方式が遅いと言われる一番の理由は、
建物側の設備によって最大通信速度が決まってしまう点にあります。
多くのマンションでは、
各部屋へ分配する装置(スイッチングハブ)やLAN配線が、
最初の建築時の仕様のまま使われています。
そのため、どれだけ高速な光回線を契約していても、
建物側の設備が対応していなければ速度は頭打ちになります。
100Mbps対応か1Gbps対応かで大きく差が出る
LAN配線方式のマンションでは、
最大100Mbpsまでしか出ない設備と、
1Gbpsまで対応している設備が存在します。
たとえば、
- 100Mbps対応の建物
→ 実測で20〜70Mbps程度 - 1Gbps対応の建物
→ 実測で100〜300Mbps前後
といった差が出ることも珍しくありません。
「回線自体は1Gbps契約なのに遅い」という場合、
この設備上限が原因になっているケースが多いです。
建物全体で回線を共有している
LAN配線方式では、
マンション全体で1本の回線を共有していることがほとんどです。
そのため、夜間や休日など、
多くの住人が同時にインターネットを使う時間帯は、
通信が混み合いやすくなります。
特に、
・動画配信サービス
・オンラインゲーム
・大容量のダウンロード
が集中すると、速度低下を感じやすくなります。
共用設備が古いまま更新されていないケース
マンションによっては、
LAN配線方式でも設備が古いまま放置されていることがあります。
・スイッチングハブが古い
・LANケーブルの規格が低い
・設備更新が行われていない
こうした場合、理論上は速いはずでも、
実際の体感速度がかなり遅くなることがあります。
「昔は問題なかったのに、最近遅く感じる」
という場合も、設備の老朽化が原因になっている可能性があります。
LAN配線方式の実際の速度はどれくらい出る?
理論値と実測値の違い
インターネット回線の案内でよく見かける
「最大◯Gbps」という表記は、あくまで理論上の最大値です。
LAN配線方式のマンションでは、
この理論値どおりの速度が出ることはほとんどありません。
実際には、
・建物の設備
・利用時間帯
・接続している機器
など、複数の要因が重なって速度が決まります。
そのため、
「1Gbps契約=常に高速」
と考えるのは少し注意が必要です。
時間帯(夜・休日)による速度低下
LAN配線方式は、
利用者が増える時間帯に速度が落ちやすい傾向があります。
特に、
・平日の夜
・土日祝日
は回線が混雑しやすく、
昼間は問題なかったのに、夜だけ遅く感じることもあります。
この現象は故障ではなく、
回線共有による自然な影響であるケースが多いです。
オンライン会議・動画視聴・ゲームへの影響
用途別に見ると、
LAN配線方式の速度は次のように感じられることが多いです。
- 動画視聴(HD・フルHD)
通常は問題なく再生できることが多い - オンライン会議
時間帯によっては音声や映像が不安定になることがある - オンラインゲーム
ダウンロード速度よりも、
遅延や安定性の影響を受けやすい
「何をどの程度使いたいか」によって、
許容できるかどうかの判断が変わるのも、
LAN配線方式の特徴です。
自分のマンションがLAN配線方式か確認する方法
室内の差し込み口で確認する
もっとも簡単な確認方法は、
部屋の壁にある差し込み口を見ることです。
LAN配線方式のマンションでは、
電話線ではなく、
LANケーブルを差し込む四角い端子(LANポート)が設置されています。
パソコンやルーターを直接つなげる形であれば、
LAN配線方式の可能性が高いと考えてよいでしょう。
管理会社・管理組合に確認する
差し込み口だけでは判断がつかない場合は、
管理会社や管理組合に問い合わせるのが確実です。
確認する際は、
「マンションの回線方式は何か」
「LAN配線方式の場合、最大速度はいくつか」
と聞くとスムーズです。
特に、
100Mbps対応か1Gbps対応か
は、後の判断に大きく影響します。
契約書・重要事項説明書を見る
入居時にもらった
契約書や重要事項説明書に、
回線方式が記載されていることもあります。
「インターネット設備」
「通信設備」
といった項目を確認してみてください。
資料に
「LAN方式」
「構内LAN」
などの記載があれば、LAN配線方式です。
LAN配線方式でも速度を改善できるケース
LAN配線方式でも宅内環境を整えることで体感速度が改善するケースがあります。
▶中継器とメッシュWi-Fiの違いとは?マンション・戸建て別に最適な選び方を解説
Wi-Fiが遅くなる原因を、回線の問題と宅内環境の問題に分けて解説しています。
速度測定の見方や、よくある勘違いを整理しているため「回線を変えるべきかどうか」を判断するヒントになります。
ルーターを見直すだけで改善する場合
LAN配線方式が遅いと感じていても、
宅内の機器が原因になっているケースは少なくありません。
たとえば、
・古いルーターを使っている
・最大速度が100Mbpsまでの機種を使っている
といった場合、建物の性能を活かしきれていない可能性があります。
1Gbps対応のルーターに変えるだけで、
体感速度が改善することもあります。
配線カテゴリ(LANケーブル)の影響
見落とされがちですが、
LANケーブルの規格も通信速度に影響します。
Cat5e・Cat6・Cat6Aの違い
LANケーブルには、
Cat5e、Cat6、Cat6Aなどの種類があります。
- Cat5e
最大1Gbps対応。一般的な家庭用として十分 - Cat6
ノイズに強く、安定しやすい - Cat6A
高速通信向け。環境次第ではオーバースペックになることも
古いケーブルを使っている場合は、
Cat6以上に交換するだけで安定性が向上することがあります。
共有設備ではなく「宅内」が原因のケース
「マンションだから遅い」と思いがちですが、
実際には
・Wi-Fiの電波が届きにくい
・設置場所が悪い
といった宅内環境が原因のこともあります。
有線接続で速度を測定し、
有線は速いがWi-Fiだけ遅い場合は、
回線ではなく宅内環境の見直しが有効です。
もし有線では問題ないのに遅く感じる場合、原因は回線ではなくWi-Fi側にある可能性があります。
▶ Wi-Fiが遅い原因とは?回線との違いと見分け方をやさしく解説
マンションでWi-Fiが届きにくいときの対策として中継器とメッシュWi-Fiの違いを分かりやすく解説しています。
住まいの広さや使い方に合わせた選び方が分かる内容です。
LAN配線方式のマンションで注意すべきポイント
回線だけ変えても速くならないケース
LAN配線方式のマンションでは、
個人で回線契約だけを変更しても、速度がほとんど変わらない
というケースがあります。
理由は、
建物内の共用設備がボトルネックになっているためです。
たとえば、
建物側が100Mbps対応のままの場合、
どれだけ高速な回線プランを選んでも、
実際の速度はそれ以上出ません。
「プラン変更=必ず速くなる」
とは限らない点は、事前に知っておくべきポイントです。
プロバイダ変更の効果が出にくい理由
プロバイダを変えれば速くなる、
と思われがちですが、
LAN配線方式では効果が限定的なことが多いです。
回線が混雑する原因が、
プロバイダ側ではなく
マンション内の共用回線にある場合、
プロバイダ変更だけでは改善しません。
もちろん、まったく意味がないわけではありませんが、
期待しすぎない方が安心です。
「1Gbps対応」と書いてあっても注意が必要な理由
マンションの案内に
「1Gbps対応」
と書かれていても、注意が必要です。
これは、
回線自体が1Gbpsに対応している
という意味であり、
各部屋で常に1Gbpsが出ることを保証するものではありません。
実際には、
・同時利用者数
・設備の状態
によって、体感速度は大きく変わります。
表記だけで判断せず、
実測や設備内容を確認することが大切です。
LAN配線方式から乗り換える選択肢はある?
光配線方式への変更が可能なケース
マンションによっては、
建物全体の設備更新によって
LAN配線方式から光配線方式へ変更できるケースがあります。
ただし、この変更は
・管理組合の判断
・建物全体での工事
が必要になるため、個人の判断だけでは進められません。
すでに一部の住戸で光配線が導入されている場合は、
将来的に切り替えが検討される可能性もあります。
個別回線(戸建てタイプ)を引けるケース
条件が合えば、
自分の部屋専用に回線を引き込めることもあります。
いわゆる「戸建てタイプ」の回線を、
マンションの一室に直接引く方法です。
ただし、
・管理会社の許可
・配管や配線スペースの有無
・工事内容
など、ハードルはやや高めです。
事前に必ず確認が必要になります。
現実的に難しい場合の割り切り方
設備的に変更が難しい場合は、
今の環境でできる最善策を取ることが現実的です。
たとえば、
・有線接続を中心に使う
・利用時間帯を工夫する
・用途を分けて使う
といった対策です。
LAN配線方式は、
すべての用途に不向きというわけではありません。
自分の使い方に合っているかを基準に判断することが大切です。
まとめ|LAN配線方式は「仕組みを知れば対策できる」
LAN配線方式のマンションは、
「遅い」と言われることが多いものの、
その理由の多くは仕組み上の特徴にあります。
建物側の設備や共有回線の影響によって
速度に上限があったり、時間帯によって遅く感じたりすることは避けられません。
一方で、
・ルーターやLANケーブルを見直す
・有線接続を活用する
・使い方を工夫する
といった対策で、体感速度が改善するケースもあります。
大切なのは、
「LAN配線方式だから仕方ない」と決めつけるのではなく、
自分のマンションがどの条件に当てはまるかを把握することです。
仕組みを理解したうえで判断すれば、無駄な契約変更や出費を避けることにもつながります。