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はじめに|マンションのVDSL方式・LAN配線方式はなぜ遅いと言われるのか

マンションでインターネットを使っていると、
「動画が止まる」「夜になると急に遅くなる」「速度測定すると数値が低い」
といった不満を感じることがあります。
その原因としてよく挙げられるのが、
VDSL方式やLAN配線方式といった、マンション特有の回線方式です。
これらの方式は、光回線という名前がついていても、
実際には建物内の配線や設備の影響を強く受けるため、
戸建ての光回線と同じような速度が出ないケースが少なくありません。
ただし、「VDSLだから必ず遅い」「LAN配線方式は使い物にならない」と
一概に言えるわけでもありません。
仕組みを正しく理解することで、
なぜ遅くなるのか/どこに限界があるのか/改善できる余地はあるのか
が見えてきます。
この記事では、
- VDSL方式・LAN配線方式の基本的な仕組み
- 遅くなりやすい理由
- 光配線方式との違い
を、専門用語をできるだけ使わず、
マンションに住んでいる方でもイメージしやすい形で解説していきます。
まずは、マンションで使われる回線方式の基本から整理していきましょう。
マンションで使われる回線方式の基本
マンションのインターネット速度を考えるうえで、まず知っておきたいのが回線方式の違いです。
同じ「光回線」と書かれていても、建物内でどの配線が使われているかによって、速度や安定性は大きく変わります。
ここでは、VDSL方式とLAN配線方式の仕組みを、それぞれやさしく整理します。
VDSL方式とは?仕組みと特徴
VDSL方式は、建物の共用部分までは光回線、各部屋までは電話線を使って通信する方式です。
築年数がやや古いマンションで多く採用されています。
電話線を使って通信する仕組み
VDSL方式では、エントランス付近にある装置から、
各部屋までは昔から使われている電話線でインターネット信号を送ります。
電話線はもともと音声通話向けの配線のため、
データ通信ではノイズの影響を受けやすく、
距離が長くなるほど速度が落ちやすいという特徴があります。
VDSL方式の最大速度と実際の体感差
VDSL方式の理論上の最大速度は下り100Mbps程度です。
ただしこれは理想的な条件での数値で、実際には、
- 配線の劣化
- 建物内での同時利用
- 夜間の混雑
などの影響を受け、
体感では数十Mbps以下になるケースも珍しくありません。
LAN配線方式とは?仕組みと特徴
LAN配線方式は、建物内にあらかじめ敷設されたLANケーブルを使って通信する方式です。
VDSL方式より新しい設備のマンションで採用されることが多くあります。
建物内LANケーブルを使う仕組み
この方式では、エントランスから各部屋までLANケーブルで接続されています。
一見すると高速そうに感じますが、
マンション全体で同じ回線を共有している点はVDSL方式と共通しています。
LAN配線方式の最大速度と制限
LAN配線方式も、設備によっては最大100Mbpsに制限されていることがあります。
特に古いLAN規格(カテゴリー5など)が使われている場合、
回線自体がボトルネックになり、速度が伸びません。
光配線方式との違い(比較の前提整理)
VDSL方式・LAN配線方式と比べて、
光配線方式はエントランスから各部屋まで光ファイバーが直接引き込まれています。
そのため、
- ノイズの影響を受けにくい
- 1Gbps以上の高速通信が可能
- 混雑時でも速度が安定しやすい
といった違いがあります。
「なぜマンションのネットは遅いのか?」を考えるときは、
この配線方式の違いが大きな分かれ道になります。
VDSL方式が遅くなりやすい主な原因
VDSL方式は、マンションで広く使われてきた回線方式ですが、
仕組み上、どうしても速度が落ちやすいポイントがいくつかあります。
ここでは、VDSL方式が「遅い」と感じやすい代表的な原因を整理します。
電話線の距離・劣化による影響
VDSL方式では、各部屋まで電話線を使って通信します。
この電話線は、配線の距離が長くなるほど、
また古くなるほど、通信速度が落ちやすくなります。
例えば、エントランスから部屋までの距離が長い場合や、
築年数が古いマンションでは、
信号が弱まり、速度低下につながりやすくなります。
建物全体で回線を共有している
VDSL方式は、マンション全体で1本の回線を共有している仕組みです。
そのため、同じ時間帯に多くの住人がインターネットを使うと、
1人あたりに使える通信量が減ってしまいます。
特に動画視聴やオンライン会議が集中する時間帯では、
回線が混み合い、体感速度が大きく下がることがあります。
夜間に速度が落ちやすい理由
「昼間は問題ないのに、夜になると遅い」という場合、
多くはこの回線共有が原因です。
夜間は在宅時間が長くなり、
動画配信サービスやゲームの利用が増えるため、
VDSL方式では混雑の影響を受けやすくなります。
これは故障ではなく、仕組み上起こりやすい現象だと理解しておくことが大切です。
LAN配線方式が遅く感じる主な原因
LAN配線方式は、VDSL方式より新しい設備のマンションで使われることが多く、
一見すると高速そうに思われがちです。
しかし、実際には「思ったほど速くない」と感じるケースも少なくありません。
ここでは、LAN配線方式が遅く感じられる主な理由を整理します。
建物側のLAN設備が古い
LAN配線方式では、マンション全体に敷設されている
LANケーブルやハブなどの設備が通信速度に大きく影響します。
もし古い規格のLAN設備が使われている場合、
最新の高速回線を契約していても、
建物内で速度が制限されてしまいます。
この場合、個人でできる対策には限界があります。
最大100Mbpsに制限されているケース
LAN配線方式でも、設備によっては
最大速度が100Mbpsまでに制限されていることがあります。
契約上は「1Gbps」と表示されていても、
建物内の配線が対応していなければ、
実際の通信速度はそれ以上出ません。
速度測定で常に100Mbps前後が上限になる場合は、
この制限がかかっている可能性があります。
同時利用による速度低下
LAN配線方式も、VDSL方式と同じく、
マンション全体で回線を共有しています。
そのため、夜間や休日など、
多くの住人が同時にインターネットを使う時間帯には、
速度が落ちやすくなります。
「時間帯によって速さが変わる」と感じる場合は、この共有回線の影響を受けている可能性が高いです。
VDSL方式とLAN配線方式の共通の弱点
VDSL方式とLAN配線方式は仕組みこそ異なりますが、
マンションで使われる回線方式として、共通する弱点があります。
このポイントを理解しておくと、
「なぜ個人で対策しても限界があるのか」が見えてきます。
マンション設備がボトルネックになる
どちらの方式も、エントランスから各部屋までの
建物側の設備が通信速度を左右します。
いくら高速なプロバイダを契約しても、
マンション内の配線や機器が古いままだと、
そこがボトルネックとなり、速度は頭打ちになります。
これは利用者側の問題ではなく、
建物の仕様による制限です。
個人では回線速度を上げにくい理由
VDSL方式・LAN配線方式では、
建物全体の設備を個人の判断で変更することができません。
そのため、
- ルーターを高性能なものに変えても効果が限定的
- 契約プランを上げても体感が変わらない
といった状況が起こりやすくなります。
「自分の使い方が悪いのでは?」と悩む必要はなく、まずは回線方式の仕組みを理解したうえで、現実的な対策を考えることが大切です。
自分のマンションがVDSL方式・LAN配線方式か確認する方法
回線が遅いと感じたとき、まず大切なのは
自分のマンションがどの回線方式を使っているのかを把握することです。
方式が分からないまま対策をしても、効果が出にくくなってしまいます。
回線が遅い原因を正しく判断するためには、まず自分のマンションの回線方式を知ることが欠かせません。方式が分からないまま対策をしても、効果が出にくくなってしまいます。
▶マンション回線の種類を見分ける方法|VDSL方式・光配線方式・LAN配線方式をやさしく解説
マンションで使われる3つの回線方式を、室内の配線・機器・管理会社への確認方法からやさしく解説した記事。自分の住まいがどの方式なのかを迷わず判断できます。
ここでは、専門知識がなくても確認しやすい方法を紹介します。
室内の配線・機器で見分ける
一番手軽なのは、部屋の中にある配線や機器を確認する方法です。
- 電話線を差し込むモジュラージャックがあり、
そこに通信機器がつながっている場合は、VDSL方式の可能性が高いです。 - 壁にLANポートがあり、
そこから直接LANケーブルを挿している場合は、LAN配線方式の可能性があります。
ただし、見た目だけでは判断が難しいケースもあるため、
あくまで目安として考えてください。
管理会社・不動産会社への確認方法
もっとも確実なのは、
管理会社や不動産会社に直接確認する方法です。
「このマンションのインターネット回線は、
VDSL方式・LAN配線方式・光配線方式のどれですか?」
と聞けば、対応してもらえることがほとんどです。
回線方式が分かれば、「改善できる余地があるのか」「乗り換えを検討すべきか」といった判断がしやすくなります。
VDSL方式・LAN配線方式でもできる改善策
VDSL方式やLAN配線方式は、建物側の制約が大きい回線方式ですが、
それでも体感速度を少しでも改善できるポイントはあります。
ここでは、個人で現実的に取り組める対策を整理します。
ルーター・配線の見直しで改善できること
まず確認したいのが、
室内で使っているルーターや配線の状態です。
古いルーターを使っている場合、
回線自体が問題なくても、
機器側がボトルネックになることがあります。
また、
- LANケーブルが古い規格のまま
- ケーブルが傷んでいる
といった状態でも、通信速度が落ちる原因になります。
これらを新しいものに交換するだけで、
体感が安定するケースもあります。
Wi-Fi環境を整えて体感速度を上げる
回線速度に問題がなくても、
Wi-Fi環境が原因で遅く感じていることは少なくありません。
「回線が遅い」と思っていても、実際にはWi-Fi環境が原因になっているケースも多くあります。まずは原因を切り分けて考えることが大切です。
▶ Wi-Fiが遅い原因とは?回線との違いと見分け方をやさしく解説
回線とWi-Fiのどちらが原因なのかを、速度チェックの考え方や具体例を交えて解説した記事。無駄な回線変更を防ぎ、正しい改善ポイントが分かります。
周波数帯・設置場所の見直し
Wi-Fiには、主に2.4GHzと5GHzの周波数帯があります。
近距離で使う場合は、
干渉が少なく速度が出やすい5GHzを選ぶのがおすすめです。
また、ルーターの設置場所も重要です。
部屋の隅や床に置くのではなく、できるだけ中央で見通しの良い場所に設置すると、電波が届きやすくなります。
回線方式を変更・乗り換える選択肢
ここまでの対策を行っても改善が感じられない場合、
回線方式そのものを見直すことが現実的な選択肢になります。
VDSL方式・LAN配線方式では限界があるため、
「どこまで改善を期待できるのか」「変更は可能なのか」を整理しておきましょう。
光配線方式に変更できるケース
マンションによっては、
光配線方式への切り替えが可能な場合があります。
例えば、
- 建物自体が光配線に対応している
- 戸別に光回線を引き込める構造になっている
といったケースでは、
管理会社の許可を得ることで、
より高速で安定した回線を利用できる可能性があります。
ただし、工事が必要になることが多いため、
事前の確認は欠かせません。
マンションで戸別契約が可能かの判断基準
戸別契約ができるかどうかは、
マンションの構造や管理規約によって決まります。
確認する際は、
- 戸別で回線工事が可能か
- 共用部への工事が必要か
- 原状回復の条件はどうなっているか
といった点を、管理会社に確認するとスムーズです。
「今の回線で我慢するべきか」「乗り換えを検討すべきか」は、生活スタイルや利用目的に合わせて判断しましょう。
まとめ|VDSL方式・LAN配線方式が遅い理由と現実的な対処法
マンションでVDSL方式やLAN配線方式を使っている場合、回線が遅く感じやすいのは、個人の使い方ではなく
回線方式と建物設備の仕組みによる影響が大きいことが分かります。
VDSL方式では電話線を使う特性上、距離や劣化、夜間の混雑によって速度が落ちやすくなります。
LAN配線方式でも、建物内の設備が古い場合や、最大速度が制限されているケースでは、思ったほどの速度が出ません。
まずは、自分のマンションの回線方式を確認し、ルーターやWi-Fi環境の見直しなど、個人でできる範囲の改善策を試してみましょう。
それでも不満が残る場合は、光配線方式への変更や戸別契約の可否を確認することで、より快適なインターネット環境を目指すことができます。
個人でできる対策を試しても改善が感じられない場合は、回線方式ごとの選択肢を整理しておくと判断しやすくなります。
▶ マンションのネットが遅いときに見直すべき5つの対処法|回線方式別に解説
VDSL方式・LAN配線方式・光配線方式それぞれに合わせて、現実的に取れる対処法を整理した記事。今の環境でできることと、乗り換え判断の基準が分かります。
回線方式の仕組みを理解することが、無駄な対策を避け、納得のいく選択をするための第一歩です。